Power to the People: 日本発タンザニアで電力の量り売り

 

今回は、2011年にピースボートの通訳ボランティアとして一緒に地球一周の船旅を支えた仲間、伊地知健さんへのメールインタビューをお届けします。

 

出会った頃の彼は、まだ学生。

その頃から「生まれた環境で将来の可能性が限られてしまうのは、アンフェアだと思う。」「途上国の必要としている地域に、最低限のインフラを届けたい。」「将来は、国際機関で途上国のインフラを整備するようなことをしたい。」「世界をバランスのとれたものにしたい」と言っていたと記憶しています。

 

「そのために、まずはビジネスを学ぶ」と言ったかどうか定かではないですが、その後、三菱商事に就職。6年ほどラテンアメリカにおける発電事業を担当した後、夢を実現すべく今年早々に会社を辞め、9月からはSocial Impactに対する意識が高いビジネススクールに行くことにあいなりました。

 

そしてスクール開始までの時間も惜しいと、さっさとアフリカはタンザニアにインターン先を見つけ、4月半ばには旅立ったのでした。

 

その緻密さと行動力、ブレない姿勢は、あっぱれです。

 

そんな彼の目指すところは、Happier Businessで目指す世界観とも親和性が高く、ぜひインターンに行った経緯とそこでの学びをブログで紹介させて欲しいとお願いしたのでした。

 

さて、以下はそんな彼へのインタビューです。

 

詳細は、インタビューにありますが、彼のインターン先「WASSHA」も思わずワクワクしてしまうような素敵なビジネスモデルと組織風土を予感させます。そちらのウェブサイトもぜひ覗いてみてください。http://www.wassha.com

 

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なぜタンザニアでインターンを?

 

今年の9月からスペインのビジネススクールに進学するのですが、進学先を決めた3月時点で既に前職を退職していました。そこから9月まで完全にフリーでしたので、3月末頃から知人やインターネット経由で海外インターンを探し始めました。

 

実は、最初は場所はラテンアメリカがいいと考えていました。これまでのバックグランドを活かせますし、何よりラテンアメリカの人や文化がすごく好きなんです。ところが、ネットでそれとなく「国際協力+電力事業」で検索をかけたら、WASSHA(ワッシャ)というタンザニアの未電化地域に電力を「量り売り」している日系スタートアップのインターン募集を見つけ、「これだ!」と思ってすぐに応募したのがことの始まりです。

 

なぜWASSHAを選んだのか?

 

インターン先には、二つの要素を求めていました。一つ目は、事業を通して社会問題の解決に貢献していること、二つ目は、地域密着型の事業にHands-onで取り組んでいることです。これらに加えて、これまで携わってきた電力セクターであり、そして意思決定にスピード感があるスタートアップであればなお良いと考えていました。

 

WASSHAは東京大学発の電力制御技術と、アフリカ発のイノベーションであるモバイルマネー技術を組み合わせて、タンザニアの未電化地域のBOP層に電力サービスを届けているスタートアップです。これは、まさに私が求めていた環境でした。

 

WASSHAで担っている具体的な役割は?

 

「オペレーションの効率化」と「新規事業の立案・実行」という二つの業務を担当しています。

 

WASSHAのビジネスモデルは、タンザニアの未電化地域のキオスク(小規模商店)に太陽光パネルとバッテリーを設置し、キオスクに来店する地域住民に対して、LEDランタンのレンタルおよび携帯電話の充電サービスを提供するものです。現在、全国の約900店舗のキオスクでサービスを提供していますので、とてもスケールの大きいオペレーションです。

 

その中で、「オペレーションの効率化」では、顧客関係管理(CRM)システムの設計と導入に取り組んでいます。WASSHAのタンザニアオフィスには、全国のキオスクで頻出する運営上または設置機器のトラブル事例、キオスクオーナーからの要望やクレーム、全国各地の消費者情報など、重要かつ有益なデータが多く集まります。これらデータを効率よく、そして漏れなく記録・管理し、戦略立案や意思決定に活用するプラットフォームをWASSHAの情報システムチームとともにつくっています。

 

また、レンタル商品の点検・修理は現地のエンジニアチームが行っていますので、チームの生産性向上に向けた分析や、適切なKPI設定に係る検討・議論も行っています。

 

「新規事業の立案・実行」では、WASSHAの強みである全国のキオスクネットワークと技術・開発力を活かして、事業拡大と収益向上を実現するべく取り組んでいます。直近では、在タンザニア日本大使館を介して、国際連合世界食糧計画(WFP)タンザニア支店に対してWASSHAの事業内容をプレゼンする機会がありました。その際、事業内容、価値観ともに強い関心を持って頂き、活発な質疑応答と意見交換につながりました。今後はWASSHAのサービスを通じてWFPの課題を解決し、より多くの人々の生活水準が改善するよう、具体的な協業に向けて話し合っていきます。

 

現地での活動に於いて、戸惑ったところ、やりがいを感じていることは?

 

戸惑うところは、社外関係者を含めたスケジュール管理ですね。例えば、CRMシステムの設計・導入に関しては現地サプライヤーの協力が不可欠です。それにもかかわらず、担当者が時間通りに来なかったり、突如現れないということもありました(後から理由を聞いたらマラリアにかかったとのことで、それは仕方ないのですが)。

 

共通する「常識」がない中、効率よく、そしてお互い気持ちよく仕事を進めることはなかなか難しいものです。とは言え、タンザニア人はとても素直で、協調性もあると感じていますので、少しだけ肩の力を抜けば、働きやすく、住みやすい国です。

 

やりがいは多くありますが、業務面では、インターンという立場でありながら社内外関係者と連携して課題の特定から解決策の提案、そしてその解決策の実行とモニタリングまで主体的に進められることです。環境面では、エンドユーザーとの距離がとても近く、事業のインパクトが肌で感じられることが特に大きいです。

 

WASSHAでの活動を通じて学んだこと、気づいたことは?

 

ソリューションありきで物事を考えるべきではない、ということです。多くの課題が存在する途上国では、先入観や公開情報にもとづき、「こういう商品・サービスなら需要があるだろう」と最初にソリューションを決めて、その後に検証するという思考回路になりやすいと思います。

 

WASSHAに来てからは、同じアフリカ大陸で、同じ課題があったとしても、現地の人々が求める商品・サービスは国や地域によって大きく異なることを学んでいます。その為、本当に価値のある商品・サービスを持続的に提供するには、現地の人々が何に困っているのか、そしてこれを解決する為にどのようなハードルがあるのか、ということを現場でしっかり確認することが重要です。これを実行し、実態を把握したうえで仮説を立てて検証すれば、きっと手がかりが掴めるのだと感じています。

 

これまでのWASSHAでの経験も踏まえ、残りの期間で具体的に何をしたいか?

 

少しでもWASSHAの事業拡大と収益向上に貢献できるよう、これまで以上に新規事業の立案・実行に注力したいと考えています。

 

途上国の経済的および社会的な課題解決に向けては、様々な分野の組織や専門家が、それぞれの分野で持続的に活動・研究しています。一方で、上述の国際連合世界食糧計画(WFP)との話のように、共通した価値観とミッションを持つ組織・機関が連携し、新しい価値の創出に向けて互いに切磋琢磨することも可能で、私はこれに大きなやりがいと可能性を感じています。

 

決して簡単なことではありませんが、このような取り組みを実際に事業化できるよう、WASSHAの皆さんとともに頑張りたいと思います。

 

未電化地域のキオスクまでの道のり。
WASSHAサービスを提供するMwanza州の未電化地域のキオスク。WASSHAはこのようなキオスクのオーナーと連携しながら、ランタンの貸し出しを行っている。
WASSHA従業員(左)による地元住民へのサービス紹介の様子。 右奥の日本人の方は、WASSHAの一株主である国際協力機構(JICA)が実施している評価プロジェクト(インパクトスタディー)の調査団員の松隈さん。

 

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以上、伊地知健さんインタビューいかがでしたでしょうか?

 

タンザニアのスタートアップで活動する様子が生き生きと伝わってくる現地からのレポートでした。

 

興味関心、響くところは、人それぞれ。

わたしは、「共通の『常識』がない」というところが印象に残りました。タンザニアという環境だからある意味見えやすいですが、日本でも同じようなことは日常的にあると感じています。ただ「日本人だから同じはず」という無意識の思い込みが、ビジネスにおいてもプライベートな関係性においても、それを見えにくくしているのかもしれません。違う「常識」や「思い込み」を明らかにし、その上で「どうお互いに気持ちよく協働していくのか?」そんなことを考えさせられました。またそれは、Happier Businessでお手伝いできるところの一つでもあります。

 

そしてWASSHAの活動。日本発のイノベーションと現地発のイノベーションから生まれた「Power to the people」。大規模なインフラ施設は、時間もかかるし環境への負荷も大きい。オフグリッドで電力の量り売り。最新の技術を上手く使って、現地で必要とされるものをスピーディに届ける。しかも環境や社会への負荷を最低限にして。こんな風に、しなやかに、軽やかに、人も自然もhappierにする可能性が広がっていったらいいなと思いました。 

 

残りの活動期間2ヶ月あまり。

 

そこでのさらなる学び、成長、発見を聞くのが楽しみです。帰国後のインタビューも予定しています。

 

お楽しみに!

Happier Business Happier Planet ?

 

Happier Business 代表

東 千恵子

Power to the People: 日本発タンザニアで電力の量り売り

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