カプラ・コース Vol.1

 

というわけで始まったカプラ・コース。

3月7日から週一回、12週にわたって“The Systems View of Life”を学びます。テキストは、大学生・一般を対象に書かれたコースタイトルと同名のカプラ博士の著書。小一時間ほどのビデオレクチャーと補足資料が毎週決まった曜日にアップされ、それに基づき、博士本人も参加するオンラインフォーラムで質疑応答が展開される。定員は200名。今回は世界各国から130人ほどが参加。

第一回目では、“The Systems View of Life”のIntroductionを事前に読むことをお勧めされた。

このIntroductionの内容、Happier Businessとしても是非ひろくお伝えたい内容でありつつ、そのハイライトと概要だけでも結構なボリューム。

なので、それは別途お伝えするとして、まずは講義第一回目。

第一回目では、30分ほどで本そしてコースの主題、その背景、主な概念をざっくり説明。

ほんとにざっくり!だから事前にIntroduction読んでおいてねということなんだな…。

以下は内容を指定された参考文献から若干補足しつつまとめたレクチャーの概要と印象に残った部分。

ひとことで言うと主題は、「生命をシステム論でとらえることと、その新しい概念的理解がもたらす広い影響を考えること」。

 

「生命」や「いきもの」と普段当たり前に使っていることば。でも科学的な定義って実はあるようでなかったりする。この「生命」というものを自己組織化、複雑系、ネットワーク、相互依存というキーワードを持った「生きたシステム」という視点でとらえ、統合的かつ科学的な概念フレームワーク(これを“The Systems View of Life”と呼んでいる)を提示する。と同時に、生まれつつある新しい「生命」の概念がわたし達の生活全般にもたらす可能性を考察するのがこの本そしてコースのねらい。

 

なぜこれが重要なのか?

わたし達の暮らしに直接間接に影響をもたらす様々な課題、気候変動、生物多様性の喪失、資源の乱獲と破壊、貧富の格差、紛争などなど。それらすべては根っこでは繋がり相互に影響を及ぼしあっているから。

なので、もしこうした問題を永続的かつ本質的に解決したいと望むならば、その解決策は一見個別の事象のつながりと、つながりの全体像を考慮したシステム論的アプローチをとる必要がある。

つまり、わたし達の生存を可能にする様々な生きたシステムの振る舞いを理解し、尊重し、それに適した形で自分たちの住む地域や社会をつくり、維持していく必要があると言うこと。

わたし達の生存を可能にしている究極のシステムとは「自然」。なので、自然に本来そなわる生命を育む能力・仕組みを理解し、それと協調する必要があると言うこと。

ただ、それをするには、これまでとはまったく違った捉え方で生命を理解する必要がある。

いまでは、複雑系、ネットワーク、組織化のパターンの理解などといった「質」(quality)の科学が発展し、これまでとはまったく違った捉え方で科学的に生命を理解することが可能になっている。そして、それは現在進行形で進んでいる。

 

ここで言う「質」とは何か?

例えば、砂糖の分子。これは生きてはいないけど、システムの一つ。複数の水素原子と酸素原子がつながり一つのシステムを作っている。水素や酸素原子そのものに「甘さ」と言う性質はない。でも砂糖分子になると「甘さ」と言う性質が生まれる。こうして複数の要素が一つのシステムとなることで生まれてくる性質を「質」と呼んでいる。つまり「質」とは、システムの特性(systemic property)のこと。

 

では「生きたシステム」(living system)とは何か?

すべての「生きたシステム」は、共通した性質を持ち、共通の原理に基づいて組織化する。こうした性質や原理は、非線形方程式(non-linear equation)で表すことができる。

この非線形方程式こそが、複雑系(ざっくり言うと生きたシステムの別の呼び方)の理論で最も重要な特徴だとカプラ博士は言う。

 

ただ博士が物理学の学生だった1970年代は、非線形方程式に出くわしたときは線形方程式で代用するように指導されていたそう。代用しても実際に起こっている事象とそうはかけ離れていないことを期待して…

この頃は、コンピューターの演算能力も低く、人間の計算能力も超えているので非線形方程式を取り扱うすべがなかったのという大きな理由があるにはありました。

そんなわけで物理学と数学の学生は、70年代の半ばまで非線形方程式を線形化するよう指導されたという。実際20世紀の中頃までには、ほとんどの科学者と技術者は線形方程式が万能であると信じるようになっていた。

 

余談:このくだりには思わず共感。20世紀の終わりから21世紀はじめに、イルカの行動生態を研究していた自分が研究者になるのを辞め、純粋にアカデミックな世界を離れることにした理由を思いだしてしまった。

 

閑話休題。

この非線形方程式の特徴とは何か?

普通の方程式は、左右の要素を入れ替えたり割ってみたり掛けてみたり、いじくりまわして解が出てきます。ところが非線形方程式は、解が幾何学形・パターンなのです。つまりシステムの根底にある力学の視覚的表出なのだそうだ。(すげ〜!)

 

つまり非線形数学は、関係性、パターン、組織化を表す数学なのだとも。

 

次回以降が、なんとも楽しみです。

カプラ・コース Vol.1

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